こつ

 自分の体験に近い、概念的でない、実感のある言葉で話します。論評や正しく組み立てた話し方でなく、気持ちが伝わる話し方を工夫します。立派にまとめられた言葉より、切れっ端のような言葉がよいのです。

 

 言いたいことが言い合える温かい雰囲気の中で、お互いに相手を映し出す鏡になり会話をします。会話の流れの中で言うタイミングを失い言いそびれたことがあったら、そのことに気づいたとき、いつでも蒸し返しありです。

 



 無理に楽しい話題を提供しなくていいのです。会話がつまらないときは、つまらないことを話題にすると楽しめます(「つまんないな…」とか)。しゃべることがないときは、そう言っていいのです(「しゃべること、ないし…」とか)。

 このグループでは実験精神が大切です。ただ無難にやるのでなく少し自分を開き、感じていること(「いやです…」とか)を一歩踏み込んで相手に伝えてみます。言い争いが起こることもありますが、グループは、のびのび楽しんで言い争う(自己主張しあう)練習の場です。

 

 ただし無理はしないで、場の危険さに応じて心の垣根を開け閉めします。オープンであることがよいわけではないのです。そっと外を覗いて危ない気配ならキッチリ閉じます。グループは、ゆとりをもって心を閉じる練習の場です。

 

 グループ全体の雰囲気は、にこやかになり過ぎないようにします。にこやかな雰囲気は壊しにくいため、言いたいことが言えなくなってしまいます。ややぶっきらぼうで仲良しのふりをしないですむ、ざらついた雰囲気の方が精神衛生上よいようです。



 グループの成果として、「今までの自分のあり方」(八方美人、アパシー、完璧主義、怒りっぽさ、傷つきやすさ、自己嫌悪、知性化など)がはっきりしてきます。それに伴い、自分がこれからはどんなあり方を望んでいるのか見えてきます。そして実際に受け入れにくい自分が受け入れられるようになったり、考えの違う他人と楽にいっしょにいられるようになったりします。